治せる治療家、患者さんから選ばれる院、本物の手技技術
柔整・鍼灸コラム
3.打撲はそっと放置?
打撲の初期段階(受傷直後2~3日の期間)の治療方法の基本はRICEの通り、アイシングがセオリーですね。
内出血は自然治癒力の働きによって、負傷した部位をすぐに治療しようと、ぶつけた患部に血液が急速に集まる作用によって発症します。
酸素を必要とする血液が一か所に一気に集中すると、大量の酸素が必要となり細胞は酸欠状態をおこします。そして酸欠状態をおこした細胞は、徐々に死滅していきます。
内出血が引かず皮膚の色が変色したままの場合は、皮下組織の変色を伴うあざ症状となりますが、これは細胞が変性した結果です。
これは傷ついた細胞組織に関わらず発症するため、受傷していない元気な細胞組織までも死滅していてしまう点が最大のポイントです。
元気な細胞組織まで死滅させてしまうと、打撲の治療に関わる回復期間に大きな影響を及ぼすことになります。
そこで、当院では人間の持つ自然治癒力の働き最大限に高めるために、患者さんが早期回復を望む場合には、あえてセオリーを無視することがあります。
アイシングは、皮膚および筋肉が傷を負った際に発生する「内出血の進行」を緩和させるためですが、アザースではあえて「マッサージ」で循環促進を実践するのです。
マッサージをおこない、強制的に損傷した筋組織から内出血を出すことで細胞が死滅しづらい状況にすることで組織の回復スピードが上がります。
また、マッサージ後、しっかり包帯固定をおこなうことで、通常の半分以下の時間で現場復帰する(フィールドに立つ)ことが可能です。
左大腿部打撲の早期回復の事例
アメフト部に所属している21才男性は、練習中に熱くなったチームメイトに本気でタックルされ、受傷後2日目に左大腿部打撲で来院されました。
日曜日に大事な試合があるので、あと3日で治したい、動けるようにしたいとのことでしたので、少々の痛みを伴いますが、大腿四頭筋の直筋と外側広筋をストリッピングした後、高電圧の電療機器で腫れを引かせ、包帯固定をおこないました。
圧痛は残存するものの、試合当日はテーピング固定で動けるようになるまで回復しました。
打撲、とくに内出血を発症した場合は、直後の対処によって大きく回復時間が変化してきます。
当然、打撲障害の度合いが大きければ、回復は遅くなってきますが、それ以上に受傷直後の対処が最も重要になるのです。
スポーツ現場で活躍する柔道整復師にとって、必要不可欠な知識と技術といえます。