治せる治療家、患者さんから選ばれる院、本物の手技技術
柔道整復師コラム
7.膝の靭帯損傷を柔整と鍼治療で改善
急性期を過ぎた外傷性のケガに鍼灸治療は絶大な効果を発揮します!
時間が経過し、なかなか痛みや症状の改善しない怪我は柔道整復の技術だけでは改善が難しいのです。
スノーボードでの怪我で右膝の靭帯損傷の事例
スノーボードで怪我をして右膝の痛みを訴えて来院された42歳男性の症例です。 複合損傷でアンハッピートライアド(不幸の三徴候)がある大怪我の患者さんでした。
アンハッピートライアドとは内側半月板・内側側副靱帯・前十字靭帯の三つの組織の同時損傷で「不幸の三徴候」と呼ばれるほど回復が悪く、早くても一年、長い場合は2年以上のリハビリが必要になります。
長いリハビリを経ても回復が思わしく無く、競技生命を閉ざされるスポーツ選手は後を絶ちません。
この患者さんは、整形外科を受診し手術も検討しましたが、非観血療法で治したいとドクターに相談し、右膝に溜まった血腫だけ抜いてもらい当院へ来院されました。
主な症状としては「痛い、曲げ伸ばしがつらい(ロッキング)、こわばる、足が重くだるい、鈍痛がする、」など、膝関節の軟部組織損傷の症状をすべて訴えておられました。
柔整と鍼灸の治療の開始
まずは柔整、物療機器やアイシングで患部の炎症を抑え、包帯固定で患部に掛かる負担を減らす施術を行います。
ここからは鍼灸の出番です。 鍼灸では本治(ほんち)ー”その症状が起こっている根本原因”と標治(ひょうち)ー”肩凝りとか、腰痛とか、関節痛とかの「現象」のこと”という考えがあります。
まずは本治で身体の前後左右のバランスを整えることで膝関節に掛かる負担を減らし回復が遅れないようにすることが大事になります。
この患者さんは右側の骨盤が下がり、右に重心が偏っていました。
つまり、この患者さんは右膝を痛めているにもかかわらず、右膝に重心がかかりやすい身体のバランスになっていたのです。
これではいくら炎症を抑える治療をしても回復が遅くなってしまいます。
なので、本治治療では骨盤の左右のバランスを整えます。ポイントは督脈の腰陽関、右の次髎、委中に刺鍼します。
次は標治治療で、右膝の腫れや熱感を引かせる為に脾を、下肢全体の浮腫みを引かせる為に腎を補います。
刺鍼ポイントは脾兪、腎兪、陰陵泉、陰谷、その他に足三里などの圧痛点をとります。
治療前、右膝がパンパンに腫れ、松葉杖に寄りかかり足を引きずりながら来院されましたが、一週間の治療で日に日に腫れが少しずつ引き、左右の骨盤のバランスが整ったことで、松葉杖で軽く支えるくらいで歩けるようになり、回復を実感されていることで大変喜んでいただけました。
この患者さんのような大怪我のケースでも、柔整は患部の治療を、鍼灸は身体全体のバランスの治療をすることによって患者様が望む結果を出すことができるのです。